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ナノシートをシード層に用いた各種結晶薄膜の配向成長
2007年10月18日
物質・材料研究機構と科学技術振興機構は,様々な基材上での高品質の配向膜の成長を可能とするシード層を,無機ナノシートという独自素材を用いることで室温にて作製することに成功した。
今回開発したナノシートシード基板は,無機ナノシートとよばれる厚さが約1~2nm,横サイズが数十μmのシート状の二次元ナノスケール物質を用いる。ペロブスカイト構造をもった酸化ニオブナノシートの単層膜を溶液プロセスによって基板表面に形成することで,従来の単結晶基板にせまる平滑性・結晶性をもったシード層をガラス基板上に室温で作製し,これをシードとして,チタン酸ストロンチウムや酸化チタンの配向膜を成長させることに成功した。また酸化ニオブナノシートとは異なる構造を持った酸化マンガンナノシートを利用したシード層の作製にも成功している。
今回の成果は,熱処理を必要とせず室温にて高結晶性・平滑なシード層作製技術を提供するものであり,次世代のフレキシブル電子デバイスのキーマテリアルであるプラスチック基板などこれまで困難とされてきた様々な基材への適用,その上での各種結晶の高品位・配向成長が可能となると期待される。また本手法では,シード物質を既存の様々なナノシートから選択することによって,成長させる薄膜物質の構造に適したシード基板を作製することが可能である。また低コストの室温溶液プロセスを利用することで作製できることから,低環境負荷のグリーンプロセスという利点も有している。
同技術は結晶薄膜形成技術においてこれまで問題となっていたヘテロエピタキシャル成長に関する技術課題を解決し,大きな展開を与えるものと期待される。
例えば次世代のフレキシブル電子デバイスのキーマテリアルであるプラスチック基板等に本手法を適用し,さらに単結晶基板上で報告されている真空プロセスによる機能性セラミックスの低温作製法と組み合わせることで,室温あるいは低温にてプラスチックフィルムやガラス基板上に誘電体や光触媒,透明導電体などの機能性セラミックスの良質な薄膜を合成できるようになることが期待され,今後到来するユビキタス社会を支える薄膜作製技術という基盤技術に対して,大きく貢献できるものと考えている。また,同手法では,従来用いられたような大型の真空装置や高価な成膜装置を必要とせず,室温溶液プロセスという簡便な方法を用いるだけで,単結晶に迫る特性をもったシード層の作製を実現,低コスト・低環境負荷のグリーンプロセスという観点からも大きなメリットを持つことが期待される。今後はさらなるナノシートシード物質の探索に取り組むとともに,実際に本手法を利用した各種セラミックスの低温成膜技術の確立に向けて研究を進める予定である。
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